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ファニーゲームのSskのレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
3.7
スクリーンで見たら絶句するだろう。
豊かな教養ある幸せな家族が行かれた2人の男に無残に引き裂かれるという映画。
唐突に訪問し、無礼な態度でものを要求する二人組、それに対して親切に対応する家族。次第に本性を露わにする2人に対して、当然の嫌悪感を見せる家族。社会的模範のような家族は、暴力の前に全く為すすべを持たなかった。

家族はなぜ弱いのか(殺されたのか)?
知性の力と暴力の力

純粋に、感情的な思考を排せば以下のような2つの力の行使という構図で見ることができる。
闖入者は純粋な暴力、野性を持っていた。家族はそれを抑える知性の力、人間性を持っていた。

私達は暴力を社会から徹底的に抑圧するし、そうする事が推奨される。感情的にならず知性的な人は尊敬される。社会においては知性を、人間性を示す事が力になる。
では一体、知性が与える力とはどういう性質を持つだろうか。それは野性の力とどのように異なるだろう。

家族は知性の力を行使しようとした。しかしあっけなく闖入者に殺された。

知性の力は社会に認められて初めて行使される。しかしその為には社会に認識されねばならない。
一方野生の力は早く、瞬間的で力強い。これらは社会に認められる必要がない。
その瞬間のその現場において、最も強い効果を発揮するのは純粋な暴力である。
私達が無意識に信じている知性の力は、万能ではない。瞬間においては力を持たない。知性の力だけが力ではない。
私達は社会に生きるがその瞬間は社会ではないのだ。
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