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ファニーゲームのtyapiokaのレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
4.5
映画は時間を操る。暴力を扱ううえで、どの場面を長く写し、どこを省略し、何を見せないかが考え抜かれている。また、今まで観てきた映画の中でも抜群にタイトルクレジットがよい。
2021.05.05
やはり凄まじい。特に被害者を演じる女優の顔や反応が作品のリアリティを底上げしている。一方、加害側の二人は虚構じみている。見返すと卵のシーンが一番イライラした。導入としてそれだけ優れているのだろう。加害者が常に後手で頬を殴られたから膝を折る、撃たれかけたから撃ち殺す、銃で反撃されたから巻き戻して夫を殺す、ナイフで抵抗しようとしたから殺す、とより嫌な工夫がされている。また、殺され際にテレビに映るカーレースとその爆音もよく選んだものだと驚く。卵、ゴルフボール、音楽、色々と考え抜かれている。
2021.08.07
初めて劇場で観賞。今まで、1回目の観賞をのぞけばほとんど誰かに見せて反応を楽しむというファニーゲームの楽しみ方をしていたため、一時停止できない環境で一対一で観ることで戦うぞというような、参戦という意識が強まった。字幕が代わっており、よりゲーム感が強まった。そして、自分の考え方が変わったからか、序盤、イライラしたのは男二人ではなく奥さんに対してだった。たぶん故意で男たちは卵を割ったりしているのだけど、もし故意でなかったとしたら、故意でない不慮の事故の連続と優しい人だと思ったらいつの間にか怒っているという怖さ。両手が左手というような、何か色々うまくいかない感覚は自分にもあるため、責めずに良好なコミュニケーションを取ってくれと願ってしまった。また、被害者のパートは劇場だとわずかなえずく音も聞こえ、嫌だった。同時に被害者の小さな希望にすがるチンタラしたシーンを退屈に思い、はやく加害者きてくれという思いが自分に芽生えてることにも気がついた。退屈で恵まれているからこそ存在が軽くて不安。そういう犯人像なのかもしれない。また、客層が悪く、劇場マナーを通してファニーゲームられているのか、と錯覚した。嫌なシーンで笑い声が聞こえたり、上映中平気で画面を横切ったり、服装がおいおいだったり。でも端から見れば自分もそのお仲間。それどころか、おすすめと言いながら反強制的にファにーゲームを見せているのだから始末に終えない。目が覚めた。
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