B5版

ファニーゲームのB5版のレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
3.4
暴力に対するハンムラビ法典映画。
報復されるのは、暴力ポルノで簡易的にカタルシスを貪る我々観客である。

最近バイオレンスな映画を観て面白かったけど、面白いの定義に悩まされてしまい、これって唯の暴力消費なのかもと悩みながらハネケ作品に帰ってきた。

不条理を目的としない多くの物語には、大円団のために乗り越えるべき障害があり、その過程のお約束と言ってもいいほど、カジュアルな暴力は手段として画面に映り込んでいる。
映画は商業物なのだから、暴力が愉悦にカテゴライズされる限り、これからも描かれ続けるに違いない。
アクションというラベルを貼って寧ろ大々的に売り出すか、強引に本質を捩じ伏せて透明化するか。 
言葉にすれば悪徳でしか無いそれらの需要は、途絶えること無く乞われていくだろう。
気がつけば、そんな手っ取り早いエンタメの暴力に笑みを溢し、少なくない場合、本質の残酷性を無視して上澄みを楽しめる自分に、喝を入れる映画。

巷では不条理鬱映画の代表格だが、途中のメタ暴露から、観客の感情移入に釘を刺してるし、そこまでかな?と私の中では鬱映画の認知から外れつつある。
決して人に勧めないが、世の中に必要な映画だ。
B5版

B5版