網走番外地は、1965年公開の白黒作品。主演の高倉健は1931年生まれであるので、公開時は34歳。一方、本作では20代後半の設定であるが、高倉は若々しく20代の若者として違和感はなく、後年の貫禄のようなものは本作ではなく2枚目半で、どこかしらユーモアのある役柄に合っている。本作は、高倉以外の嵐寛寿郎、丹波哲郎、田中邦衛を含む役者陣もそれぞれに個性的である。ただ、高倉に次いで出番の多い囚人役の南原宏治は、演技がやや大げさであり、この役柄に共感は困難。見せ場となるシーンが、本作にはいくつかあり飽きない展開であるが、映画全体としての流れは切れ切れの印象であり、それぞれのシーンの繋がりは悪く獄中日記のような印象。刑務所が舞台の映画であるが、暗さはなく、鑑賞後の後味もよいので肩の力を抜いてみたい軽い娯楽映画として楽しみたい。