バインドー

機動警察パトレイバー THE MOVIEのバインドーのレビュー・感想・評価

5.0
舞台は1990年代後半の日本
レイバーと呼ばれる 二足歩行型ロボットが全国的に普及された 世界、突如暴走したレイバーと新たに搭載されたOSシステムをめぐり、国の治安を守るため 特車二課の奮闘が始まる。

テレビアニメ版はまだ未視聴の状態だったけど、分かりやすいキャラクター達と 恐らく劇場版用のシナリオなので、これ単体でも充分に楽しむことが出来ます。
いきなり 犯人の男が 建設中のプラッドホームから身投げする 構成は なんとなくシンゴジラを匂わせる作り。
“俺は好きにした お前達も好きにしろ”と言わんばかりの挑戦状。おまけにニヤリと笑いながら 飛び降りるという 奇妙な煽り。たまに映画だと こういった 主役達を試そうとする犯人 いますけど 敵役として僕は結構好きです。どこまでも社会に懐疑的で 頭が良く 孤独 今作の犯人なんかは どう転んでも 最終的に 自分が勝つように プログラムしてるんですから なかなかの小癪さですね。笑。ダークナイトのジョーカーみたい。内容は
今見ても全然色褪せる事もなく むしろこれから先 AIや人工ロボットなんかが当たり前に普及する時代が来たとして もし今作のようにシステムの暴走を招いたらと考えると これからの為の映画でもあるように思えます。

攻殻機動隊の時にも感じましたが 押井守監督は本当に世界観の作り込みが 緻密で、構図も美しい。真夏の日差しや後半の台風の演出等も実に風情があり 肌で感じる事が出来るので これは凄いなと思います。観ているだけなのに 意識が画面に吸い込まれる感覚はあまり無いですよ。
テーマでもある 急進的な都市開発による人間の傲慢さも
高層ビル群と 昭和の街並の対比で表されていて、その絵面がほんとに凄まじく、パーフェクトでした。一度見たら 一生そのノスタルジックな舞台が目に焼きつきます。しかもこの街全体を 最後の転機の伏線に使う巧みさ 実に無駄が無いと思いました。
肝心のストーリーも攻殻機動隊に比べるとエンタメ性が強く 分かりやすいので 親しみやすかったです。(でも個人的には 静かで 言語の洪水が心地いい 攻殻ぽい押井監督のが好きですけど)キャラクターがそれぞれに役割があって 現場の事を理解しようとしない上層部達との軋轢やら 現場の部下と上司の信頼関係やらと、組織というものもしっかりと描きつつ 最後は皆で大事をなす王道さも好きです。
個人的に気になった点は 犯人について 楽しそうに話す後藤さん。 彼も 犯人と同じように どんどん古いものが壊されていく 世界に少し 嫌気がさしたのでしょうか、、
“我々はどこへ行くのか、我々は何者なのか”
懐疑的な名文には収まらない 永遠の謎。

よし次は2だ!
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