1989年インターネット黎明期の期待感がたまらない。
埋め立て・再開発・地上げ、時代が後ろに下がっていく寂しさ・復讐心と犯人の動機が絡み合っていく。
節操のない東京という街への復讐。
この映画の主人公は東京。
取り残された下町というウイルスがバブルに浮かれたバベルの塔を崩壊させる。
ノアの大洪水=台風、エホバ、言語(OS)の乱れによるバベルの塔の崩壊など、聖書をなぞるストーリーにサスペンス、ロボット活劇が混ざり合い、至高のエンタメを提供してくれる。
パソコンが一般普及する前に、OSやら、トロイの木馬やら、ウイルスやらさぞ当時の観客は大変だったに違いない。
「機械は悪くない、使う人間が悪さしなければな。」
雨のしずくのディテール、ネクタイの乱れ、細部に宿るこだわりが凄まじい。
映画を形作る5割は音楽と語る押井守。
プレイステーションの小説ゲームのような趣のシンセサウンドが全体を彩る。
時代を象徴する、インターネット黎明期神話ここにあり。
ラストの鳥は、多層構造による共鳴を崩壊させたとしても、鳥の鳴き声の周波数によって、レイバーの暴走を引き起こしていたということなのだろうか?