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仁義のキーのレビュー・感想・評価

仁義(1970年製作の映画)
5.0
ジャン=ピエール・メルヴィル監督の1970年作品。主演はアラン・ドロン。
今回が初鑑賞。

上映時間が140分という長さなので、眠気にすぐ襲われる自分にはその長さに観る前は恐怖感を覚えるほどでしたが、いざ観始めてみるともう夢中。観ている間、目が冴えっぱなしで、多分、ギラギラした目で観てたんじゃないですかね。

アラン・ドロン演じる刑務所を出たばかりだが宝石泥棒を計画する男、ジャン・マリア・ヴォロンテ演じる護送中に脱走した男の二人が出会い、そこにイヴ・モンタン演じるアル中の元警察官で射撃の名手の男が加わり、というこのシンプルなストーリーだけで約70分、更に計画から実行までのやはりシンプルなストーリーが約60分、そしてあっけなく終わりを迎えるエンディングが約10分、というざっくりとした時間配分。
主要登場人物はごくわずかで、女性がいない、派手な演出も、余計な会話もセリフもない、地味な地味な映画なのに、なぜにこんなに心を震わされたのか?
主役3人のカッコよさ、カラー映画なのにモノクロ映画のような暗さ、ジャジーな音楽も流れているしセリフもあるしなのに無声映画のような静けさ。それとも、スリリングな展開なのに、感情の高ぶりを派手に表現しない抑制された雰囲気でしょうか。
とにかく、カッコ良さにやられて、観終わってから約90分くらい放心状態になってしまったくらいでした。

こんなにいい映画なら、もっと若い頃に観たかった、とも思いましたが、中年になった今観たからこそ、このカッコ良さがわかるのかもしれません。
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