広島カップ

吸血鬼ゴケミドロの広島カップのレビュー・感想・評価

吸血鬼ゴケミドロ(1968年製作の映画)
2.3
ゴケミドロと東日本大震災。

私とこの作品の出会いは今から約50年前、薄暗い中でのことでした。
なアァんだ封切りを観たんでしょ?と言われると思いますがそうではありません……

当時小学校の低学年(年齢がバレますが)だった私は、ある日母と一緒に東京の下町の夜道を家に向かって歩いていました。
その道端の薄暗い一角にこの作品の宣伝ポスターが貼ってあったのです。
オドロオドロしく不気味なそのポスターとタイトルは、まだ子供の私にとっては夢に出そうな位強烈に怖くて母の手をギュット握って家路を急いだ記憶があります。
当時の東京は夜になるとまだキチンとした濃い暗闇が街角には残っていたのですが、そいつはそこに潜んでいたのでした。

東京の夜は明るくなったんだなあと感じたのは東日本大震災の時です。原発が津波でやられた為、私の住む下町も街灯の光度が絞られ街が暗くなりました。
あの時、そうだ!私が小さかったあの頃はたしか夜はこの位の暗さだったなぁと、本作のポスターが貼ってあった当時を思い出した次第です。

先行作品の『ボディ・スナッチャー』(1956)と同列の人体乗っ取りインベーダー物のSF作品です。
洋画界では同年にSF作品『2001年宇宙の旅』『猿の惑星』なんかが製作されており、技術面でなんとも物足りなさを感じます。
製作費なんかのシビアな制限があるのは十分理解できますが、『ボディ・スナッチャー』なんかも金をかけていないのを見ると……

逃げる主人公の上に突然崖の上から大量の岩が転げ落ちて来る場面なんかを見ると、ストーリーもやはり「なんかなぁ」な感じが強くします。

主役の高英男の顔が不気味で、額を割られる前から既にインベーダーに乗っ取られている感じがしてしまうナイスなキャスティングです。

インベーダーの人体への進入経路というのは私の知っている限り『ヒドゥン』(1987)『スリザー』(2006)『インベージョン』(2007)などの口、『パラサイト』(1998)などの耳が一般的です。
そこにいくと本作の額を割って進入というパターンは斬新でした。脳にダイレクト進入!な感じが強いパターンです。
あまり鼻からのパターンを私は知らないのですが、鼻水みたいになってしまうのでどちらかというとコメディ方向に行ってしまいそうです。

ゴケミドロというなんとも印象的なネーミングは、ナントカまみれの意味の「みどろ」(血みどろ、汗みどろ等)に何かの意味があるゴケを足した造語だろうなとずっと思っていましたがさにあらず。
今回良い機会なので調べてみましたら、京都にある西芳寺(苔寺)とやはり京都にある深泥池(みどろいけ)から来ているとのことです。
はじめはコケミドロでしたが興行がコケないように濁らせてゴケにしたとのこと。
推理の域を越えてました。笑
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