ほーりー

吸血鬼ゴケミドロのほーりーのレビュー・感想・評価

吸血鬼ゴケミドロ(1968年製作の映画)
4.0
ゴケミドロという名前からしてバッタもんのような如何わしさが感じられ、実際に特撮シーンもちょっとチープなところもあるんだけど、それもまた本作の個性なんだという気もする。

タランティーノにも愛された『吸血鬼ゴケミドロ』は、高英男の怪演と陰鬱なストーリーがとにかく強烈なSFホラー作品。ある意味、東宝の傑作ホラー『マタンゴ』と双璧をなす作品だと思う。

空が血の色のような真赤に染まった時のことだった。羽田から伊丹空港に向かっていた小型旅客機は逃亡中のテロリスト(演:高英男)によってハイジャックされていた。そこへ鳥が何羽も窓ガラスに飛び込んだ。

この異様な状況に恐れおののく乗客たちだったが、その直後、謎の光る物体が機体とニアミスして、バランスを崩した飛行機は荒涼とした山中に不時着してしまう。

テロ犯含む数名の乗客(北村英三、高橋昌也、加藤和夫、金子信雄、楠侑子など)と副機長(演:吉田輝雄)、そしてスチュワーデス(演:佐藤友美)の十人だけが辛うじて助かったが、やがて想像を絶する恐怖が彼らを待っていた。

本作の主役・宇宙生物ゴケミドロが人間に憑依するシーンのグロさ……いやエロさは必見で、何か子供が見ちゃいけないような卑猥さも感じられる。

高英男以外にも極限状態でエゴむき出しになる北村と金子の迫真の演技も良い。どこか不気味な精神科医の加藤和夫も印象的。

それにしても人間同士が憎み合っている隙をつき、人類を根絶やしにしようとする宇宙生物ゴケミドロ。
ナショナリズムが蔓延している現代においては、この映画のテーマが再び現実味を帯びてきているように思う。

■映画 DATA==========================
監督:佐藤肇
脚本:高久進/小林久三
製作:猪股尭
音楽:菊池俊輔
撮影:平瀬静雄
公開:1968年8月14日(日)
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