木村のしたたり

十二人の怒れる男の木村のしたたりのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.4
無実の可能性というものは裁判の中で大前提として常に考慮されるべきであることを映し出した作品

「これだけ凄惨な事件を起こすなんて、死刑にしろ」
という論調は日本では当たり前のように見かけるものであり、その感情自体は至極人間として不思議ではない

しかしそれでも、なぜ「司法機関と警察は正しい捜査と判断を下せている」と思い込んでしまい、逮捕された殺人の容疑者は100%犯人だと決めつけてしまうのだろうか
司法機関も警察も、容疑者と何ら変わりのない人間だ、人間は間違いを犯すものだ
そういった法的思考力を改めて考えさせてくれる素晴らしい映画だった

と長々と書いたが、無罪を主張する男に対して有罪派の男が「もし無罪が確定した後に本当は有罪だったらアンタはどうする?」
と問いかけたシーンの存在のおかげで、簡単に結論は出せなくなる
無罪の可能性を信じて判断を下した結果、新たな事件が起こる可能性も同時に存在することになる
被害者・遺族が報われず失意に陥ることになるかもしれない
陪審員や日本における裁判員はその機会を偶然与えられたにせよ、これら全ての要素を考えて考えて考え抜くしかない