米倉ケイ

十二人の怒れる男の米倉ケイのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
5.0
人間が人間に正当な評価をしている確証など、あるものでしょうか?

あまり映画を観ない人に「オススメある?」と聞かれるとだいたいこの映画の名前を挙げるのですが、観てくれた人はいません(笑)
映画ファンのあいだではいわずとしれた名作であり、三谷幸喜の「12人の優しい日本人」の元ネタとなった作品です。
飾らない魅力、無駄の無さ、これほどまでに洗練された作品はいまだに稀有なのでは。
台詞回し、表情の映し方や編集、小道具の使い方など基礎の基礎が徹底されているのもあり、映画学校の教材としてもよく用いられています。
しかし優等生的な映画かといえば人間の惰性に愛情すらな感じる、枠を抜きん出ている演技とカット挿入の威力。
華の無い作品だからこそ、冷静に事実を並べ立てあえて言いたい。傑作です。

人間は複雑な生き物で、目前の価値観を変え難く、思い込みが激しいです。
そんな人間が他者の罪を判断する陪審員裁判を題材に、負の面から目を逸らさず、さらにその奥の暖かい心を否定せず見せた上での結末は、ガツンときます。

「見せるべきものを見せる」
「見えないものを感じさせる」
を徹底した訴求力の強さはいつの時代に見ても普遍的だと実感しますね。