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十二人の怒れる男のclareのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.4
一人の陪審員がクロであると思われる被告人の有罪を認めないせいでいつまでも判決が決まらずに揉めに揉める話。

日常生活においてこんな奴がいるから周りが迷惑するんだっていう意見もあるかもしれないが、大切な局面で物事の本質をしっかり見極めたうえで判断を下すということは大切なのだと思う。

この話の根本として大事なのは疑わしいから罰せよではなく、疑わしくても挙がっている証拠が不完全だからこそ主人公が反対していることである。言ってしまえば疑わしくてもそこに確固たる根拠がなければ裁いてはいけないという現在の法律の基本を忠実に守ることが法治主義なのだということ。だから本当に罪を犯しているかどうかは全く問題ではない。

よく、相手に非があれば10:0でお前が悪いみたいなやり方がまかりとおると思っている人がいるけれど実際にはどちらにも過失があると考えるのが法の概念である。犯罪者を滅するためにどんな悪行も許されるぐらいの勢いのハリウッド映画もあるけれど、こういったこともしっかりととらえて生きていくことが大切だと戒めてくれる映画。
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