秋月

十二人の怒れる男の秋月のレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.8
少しでも疑問を感じたら徹底的に考えろ


父親殺しの裁判を12人の陪審員が有罪か無罪かを決める。

陪審員制度

その内11人が有罪を主張したが、
弁護士や父親殺しの犯人とされる少年、目撃者達の証言に違和感を覚えた1人だけが無罪を主張する。

勿論その少年が犯人かどうかは、わからない。だけど疑問が少しでもあれば有罪にして裁くべきでない


次第に明らかになる曖昧な証言や証拠達に有罪を主張していた11人が1人、また1人と意見を変えていく


この物語、ただの法廷劇だと思うのだが、セリフの端々に
自分が正しいと思ったことを主張しろ!
1人だけ違う意見を言うのには勇気がいる等の現代でも問題視される同調圧力や偏見に立ち向かうことに対して主張しているようにも思えた。

本当にこれでいいのか?仕事や人間関係や自分の生き方に少しでも疑問があれば徹底的に考えるべきだ

この話し合いはインサイドヘッドのように人が行動や発言をする際の脳内での話し合いとしても捉えることができるのではないか?


その他にも、子供と上手くコミュニケーションがとれない者が犯人である少年に敵意を向けていたり、スラムに住む人に対して偏見を持ってる者がいたり
客観的に物事を判断していたと思われる者達が実はとても私的な思いで突き動かされているような描写もあった


さらにまともに話し合いが周りはじめる時に、扇風機が回ったり
事件や天気の雲行きがあやしくなったりと細かい演出もグッド


P.S.
人間関係が嫌になり塀のない刑務所を脱走した受刑者
人間関係が嫌でもそこに居続ける会社員
本当に自由なのはどちらなのか?
疑問に思ったら徹底的に考えろ!そして自分が正しいと思ったことをやれ!
秋月

秋月