マサキシンペイ

十二人の怒れる男のマサキシンペイのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.6
傑出した脚本。不朽の名作。
司法の民主化、最後の砦としての陪審員制度を描いた、キレのあるエンターテインメント。

殺人事件の陪審員として集う12人の男達が、裁判を元に容疑者の少年を裁く。
夏、扇風機が故障中の一室。
凶器に動機、証言複数あり。
早く切上げて帰りたい。
投票、11と1。
どよめく会議室の面々の中で、1人の男の徹底的な懐疑が始まる。

理知的な男、観察眼が鋭い男、少年と同じスラム育ちの男、付和雷同な男、議論に怠慢な男、短気な男、差別的な男。
キャラクターの描き分けの見事さが、直接的に構成の強靭さに繋がっている。

議論が進むにつれ思い込みや感情論が排されて、理路整然と推論が組み上がっていく、論理的であることの快さ。
それは民主主義を支える市民の模範的な思考の態度として、アメリカという国家が示す、見習うべき良識である。
マサキシンペイ

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