えそじま

恋人たちのえそじまのレビュー・感想・評価

恋人たち(1958年製作の映画)
4.5
退屈な時間には一度身を委ねてしまえば取り返しのつかない類いの不安がずっとまとわりついている。とある貴婦人の漠然とした脱出願望と不安への陶酔。月明かりの芳香に満ちた白い幻に包まれながら、滑り落ちていくようなブラームスの旋律に彩られ、その夜は時を失った。ヴィスコンティ『夏の嵐』を「自虐の麻薬」と喩えた淀川長治はすごい。


「あたくしの生涯はもう永久に決まってしまっているのですもの。どんな力もその重い鎖を断ち切ることはできませんわ。女はその鎖に金の輪で繋がれていますの、人妻の純潔をかたどった金の輪で」(オノレ・ド・バルザック『谷間のゆり』訳 宮崎嶺雄)
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