継

ある脅迫の継のレビュー・感想・評価

ある脅迫(1960年製作の映画)
4.5
本店への栄転が決まったエリート銀行員・滝田(金子信雄)と
対照的にうだつの上がらぬ気の弱そうな平の銀行員・中池(西村晃).
中学時代は机を並べていた二人。
だが滝田の妻が頭取の娘である事が, 二人に天と地ほどの差をつけてしまった。この娘は, 元々は中池の恋人だったというのに。。。

異動を間近に控えたある日, 滝田の前に東京からヤクザ者の男・熊木が現れる。
熊木は滝田が過去に行った印鑑偽造の証拠を握っており, 口止め料として300万円を要求するのだが…。


1960年公開の日活映画(モノクロ)。
今年の春先くらいにラピュタ(阿佐ヶ谷)の「世紀の怪優・西村晃特集」で半分くらい観たヤツ。
前方の席で発光するスマホ📱のライトと, ある匂いに耐え切れず退席したんだけれど,
幕開けから(これはアタリだな)と確信させる出来の良さだったから,ここはクールに(-。-)y-゜゜゜,少し長めの予告編と思う事にしてソフト発売を心待ちにしてたヤツ。

後半ダレたりしてないか?!一抹の不安はあったけれど, それも杞憂。
誰もが認める大作や傑作じゃあないけどそんなのはどうでもよくて, 自分の好きな作風で完成度が高くて尚且そんなに有名ではない‥, こういう作品に出会えると本当に嬉しい。

主演級のスター俳優が不在な事や65min.という尺から推測出来る通り,本作は二本立て上映のメインとなる作品の言わば “添え物” として撮られた作品に過ぎない。
けれど “近年ハリウッドでリメイクも検討された” とゆーパケ裏の煽り宣伝も頷ける出来の良さを誇っていて。

それもそのはず, ネットを散策してたら脚本を書いた川瀬治とは東宝やTVドラマで膨大な本数の人情喜劇・ドラマを手掛けた瀬川昌治の変名だという記事を発見(゚д゚)!
監督の蔵原惟繕は, この後に添え物監督からランクアップしてメインとなる作品を石原裕次郎なんかと撮る事になる人で, 興行的に最も成功したのは『南極物語』辺り?なんだろうけど, まだ若手のこの頃は伸び伸びと気兼ねなく撮りたい映画を撮ってた印象。
機関車を映して幕開ける今作には様々な洋画の影響が見受けられますが, それらを全て自家薬籠中の物として一本の優れたノワールに仕立てる事に成功してます。

見所は, 職人的な手練の脚本と楽しんでカット割ってる姿が目に浮かぶカメラワーク, そして何よりも小悪人や助演的な役回りで輝きを放ってきた金子信雄と西村晃がマウントを取り合う, 二人のバチバチな演技合戦!
西村晃は晩年にTVで黄門様を演ったりするわけですけど, この頃はラピュタが “怪優” と銘打つのも納得な “怪しさ”。
後半の, その本領を発揮する表情の変貌ぶりは是非ともデカいスクリーンで観たかったヤツ。ん〜やっぱり最後まで観るべきだった!ヽ(`Д´)ノプンプン (笑)
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