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ゾンゲリアのsayaのレビュー・感想・評価

ゾンゲリア(1981年製作の映画)
3.5
田舎町ポッターズ・ブラフで起こる連続殺人事件の犯人が町の住民たちであることを知らずに、地元の保安官だけが犯人を捕まえようと躍起になっている話です。
当時画期的だったゾンビ映画『バタリアン』のダン・オバノン脚本によるゾンビ映画ということもあって鑑賞したのですが、『バタリアン』やロメロのゾンビとも違う独自の世界観が魅力的な作品でした。
序盤から殺人集団がわらわらと登場するせいで顔を全く覚えられなかったのですが、町の住民として再登場するたびに不吉な効果音で知らせてくれる演出が非常に分かりやすくて助かりました。
眼球に注射器をぶっ刺したり、鼻の穴から酸を流し込んだりと残酷描写が本格的なのもホラーファンとしては嬉しい限りです。
顔の潰れた死体を元通りに修復する描写のリアルさには惚れ惚れしますよ。
物語の展開に関しては正直地味で事件の黒幕も一目瞭然なのですが、最後の最後に衝撃的な結末があることで映画の印象までがらりと変わるのが見事でした。
ゾンビが悲しい存在として描かれていて、黒幕の自己満足に付き合わされているだけなのが切なかったです。
この作品は人物の描き方が全体的にドライなので、人物同士の思い出や関係性をもっと掘り下げて描いてくれていたら、より心に傷が残る伝説のトラウマ映画になった気はしますね。
真実を知ってから"ポッターズ・ブラフの新しい人生へようこそ"という町の看板を改めて見ると別の意味になるのも上手かったです。
それにしても最初から殺した死体を隠していれば事件にならず町も平和だったはずなのに、保安官に捜査させて面倒くさい展開に持ち込んだのは何故なのでしょう。
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