チッコーネ

ハイ・シエラのチッコーネのレビュー・感想・評価

ハイ・シエラ(1941年製作の映画)
3.5
主に観光地や田舎町を舞台とする犯罪劇で、終盤は、タイトルにも冠せられたシエラネバダ山脈での大捕り物が展開される。
高所の曲がりくねった道をハイスピードでぶっ飛ばすカーチェイスは、目を覆いたくなるような迫力だ。

仕上がりはノワールというより、正調ピカレスク・ロマン。
犯罪者同士が旧交を温める場面には魅力があり、皮肉っぽいやり取りの中に、厚い仁義と対等な信頼関係が漂う。

ボガードの演じるキャラから漂う『話せばわかる悪人』の品格は、近年の犯罪映画では見出しにくい。
逆にマスメディアが犯罪を扇動する皮肉は、すでにこの時代の映画からも確認可能である。