あや

バルタザールどこへ行くのあやのレビュー・感想・評価

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)
4.2
幼いマリーとジャックはロバにバルタザールと名前をつける。ジャックは引っ越していき、その10年後に売られたはずのバルタザールがマリーの農場に戻ってくる。


ロバのバルタザールを中心に物語は進んでいき、悲劇的な結末をたどる。
ロバは大抵童話などでも"愚鈍"のモチーフにされますが、この映画で愚かなのはロバではなく人間だということが示される。
バルタザールをひどくこき使う不良のジェラール、見世物にするサーカス、暴行する浮浪者。バルタザールは鳴くことしかできないだけに人間のとても汚い部分を知りすぎてしまった。
名前をつけてくれたマリーは、ジェラールに堕落させられ、精神を病んでいく。かつての無邪気だったマリーはもういないこと、時間は戻らないことが悲しくなる。


最後の神々しいシーンは忘れられない。このラストでバルタザールが"聖なるロバ"と呼ばれる所以がある
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