思い出がくれた最後の翼
🎈ピクサーアニメ作品
🎈アカデミー賞アニメ部門
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🔷導入10分足らずで号泣し、風船による飛翔の解放感から、南大陸上陸後のスペクタクルと、頭から尻まで時間も忘れて見入った。
娯楽としても、映像としてもとてつもない完成度のドラマであり、ピクサー映画がいかに優れているかを伝う傑作のひとつに数えてよい作品だ。
🔶「赤い風船」を彷彿とさせる家の離陸シーン。それまで広がった濃淡で生々しい現実を振り払って飛び立つ家の模様は、リアリティの崩壊であり、孤独な老人が舵を取る狂気の始まりでもある。
現実世界、街中やビル群を颯爽と駆け抜けてゆく風船の家は、現実の世界からあまりにかけ離れた存在ゆえに、あの世界でポツンと不安と狂気を湛えている。しかしながら、導入の物語を経て限りなくカールの主観に寄った我々の心は、この狂気の画面の中で幻想をカールと共有するしかない。それは理性で考えれば絶対に叶わぬ夢とは分かっていながら、決して離れることができない。
それこそが想い出の中に囚われたカールの心の寓意であるのだ、しかし恐ろしいほど美しい。
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🎈まとめ🎈
すごい映画です。犬もかわいいし、鳥もかわいい。吹き替え版もみてみよう。