レビュー888本目。
無理やりのこじ付けだけど、8は根源的とかずっと続くことを表すイメージ。
根源的なテーマを扱っているこの映画に888本目を飾ってもらいましょう!て、かなり強引なこじ付け。
ずっと家にあったDVDをつい最近観たので書いているだけなんです(・_・;
正直、「なんでもっと早く観なかったのだろう?!」て思った。それほどの名作!いや、大傑作っす!
本作が公開された映画館ではこんな光景があったんじゃないだろうか。
子供にせがまれて、あるいは子供に少しは実のあるものを観せたくて、子連れで鑑賞したお父さん、お母さん。とにかくチョイスの基準は子供。「一眠りするか!」なんて思ってたパパもいたかも。
そんなパパやママが映画が始まってわずか10分足らずで号泣している!ハンカチで目頭押さえてる。
隣で観ているちっちゃい元主賓は
「どうしたの?何で泣いてるの、パパ?」
そう!こんなミニマムで感動的なプロローグはまずない!
無駄が一切ない、セリフは一言もないのに、カールじいさんの人生が全て分かる!
僕史上、映画開始最短号泣記録達成!
この10分だけでも十分観る価値のある映画だけれど、
この映画の凄いところは、この回想シーンの挿入のタイミングとその後の使い方の妙だと思う。
頑固な爺さんとして今を生きているカールじいさん。
でも、あのシーンがあるから観客は、じいさんの頑固さが理解できる、共感できる、あのシーンとともにカールじいさんと生きたから!
なぜ、「空飛ぶ家」なのかもセリフ説明なしにちゃんと分からせてくれる。
だって、「土地」はどんどん変わってしまうから。変わらないのは、奥さんとの思い出が詰まったあの「家」だから。
じいさんの残りの人生は「亡き奥さんとの思い出」だけが全てだから。
あのプロローグがその後の活劇の材料になっているのはもちろんのこと、
そこからさらに物語を前に進めているところが、まあ見事!というほかない。
ネタバレギリギリだけど、カールじいさんは1番大切なものを捨てる選択に迫られる。
でも、それは「捨てた」のではない!
新たに「得た」のだ!亡き妻とともに。
つまんない映画、つまんない台本なら、奥さんを回想か、または想像の中で語らせるでしょ、「あなた、いいのよ。」みたいに。
そんな野暮なことをピクサーはしない。
映画作りや物語作りを志している子供達がいたら、どうぞ、真っ先にピクサーを観てください。この映画を観てください。
脚本て、こんな風に書くんだ。
前のことかちゃんと繋がっていくんだ。
無駄な場面はないんだ、ってことを教えてくれるから。
これからも888→末永く!、大切にしていきたい一本です!
PS、犬の特性が本当に出てて、可愛い!あれもピクサーの得意技の一つ!