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恋する神父のtakのレビュー・感想・評価

恋する神父(2004年製作の映画)
3.0
近づきたくても近づけない、触れたくても触れられない。そんな男女の距離感を感じさせる恋愛映画が好きだ。こっちまで切なさが迫ってくる感覚に、銀幕のこちらで身もだえするのが恋愛映画の快感。そして観ている僕らをハラハラドキドキさせてくれるある種のサスペンスこそが恋愛映画の醍醐味だ。

韓国映画「恋する神父」はシリアスな恋愛映画ではないけれど、僕が恋愛映画に求める要素がきちんと盛り込まれている。神学校の学生である主人公キム・ギュシク(クォン・サンウ)は、友人がしでかしたヘマに巻き込まれて、とある教会に行かされることに。そこで自由奔放でキュートな女性ボンヒ(ハ・ジウォン)と出会う。彼女に洗礼を受けさせることが課題となってしまったことから、一緒にいる時間が必然的に長くなる。元カレの話を聞かされたり、振り回されたりと嫌なことも多いが、次第にボンヒを理解していく。彼女も次第にギュシクの優しさに心を許していく。だが独身を通さねばならない神父、恋する気持ちに身を焦がすことになっていく。そんなお話。

そのシチュエーションをうまく使って、効果的にムードを高める演出がなかなか上手い。正直なところ期待していなかったのだが、僕はだんだんと引き込まれていた。豪雨の中でガス欠になり雨宿りする場面が、二人がお互いの理解を深めるとってもいい場面。神様にしか聞こえないように祈るのは「愛してる」という暗号のようなもの、と語る場面。「デオ グラシオス」って台詞、こりゃ後の伏線になるよな、と当然思えるのだが、意外とストレートにそれを使わないところも好感だ。彼女の髪にふれようとする場面のドキドキ。映画のラストに重要な小道具となるペンダントもうまく使われている。こっちまで緊張が伝わってきそう。二人だけの洗礼の練習シーンも名場面だね。

ドラマ「チェオクの剣」以来ハ・ジウォンをちょいと気に入っているだけに、最初から僕の興味はそっちにあった。ほとんどクォン・サンウ目当てで観ている人が多いだろうけど、この映画のハ・ジウォンも素敵。クラブで踊り狂う場面は色っぽいし、雨宿りの場面の寝顔も忘れられない。ラストのクオン・サンウの涙。えーい、やっぱり韓国映画だ。男までもがメソメソしやがって!と思う方々もいるだろが、ここは恋愛に素直だからこその涙なのだ。そんな気持ちを思い出せる映画なのかもしれませんぞ。
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