てつこてつ

告白のてつこてつのレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
3.8
原作は未読。

なるほど、テーマがテーマなだけに、R-15指定なのも納得の凄い復讐劇だったなあ。

冒頭、松たか子演じる中学1年のあるクラスの担任教師が修了日に生徒達の前で、このジャケ写通り、能面のような表情のまま、美しい声のトーンで淡々と告白する愛娘の殺人犯と彼らに対して彼女が仕掛けた恐ろしい罠。

一気にストーリーに惹きつけられた。タイトル通り、松たか子、殺人に関わった生徒達、傍観者の立場である女生徒による全て’告白’スタイルで話しが展開していく脚本もスムーズで面白いが、中島哲也監督ならではの、巧みな演出が実に見事で映画作品としての魅力を大いに高めている。

短いショットの組み合わせ、教室のシーンの照明を主要キャラクターにしか当てず他の生徒達は影絵のように見せる舞台的な手法、要所要所に流す非常に美しい楽曲の数々、要となる最後の復讐劇をSFアクション大作ばりの技法で描き出した大胆さ。また、エンディングロールに、さまざまな色彩で溢れる雄大な大空を挟み込んだのも印象的。

ローティーンならではの、無邪気さと同時に併せ持つ、大人には理解し難い理不尽ともとれる残酷さ、屈折した感情も、西井幸人、橋本愛といった若い役者陣が見事に繊細に演じきっている。

が、何と言っても、「アナ雪」のキャラとは真反対の、復讐に燃える松たか子の、台詞こそ少なく、その限られた数の台詞にもあえて抑揚を付けずとも、執念がマジマジと伝わる表情の演技、佇まい自体が鬼気迫るものがあって凄い。
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