映画漬廃人伊波興一

告白の映画漬廃人伊波興一のレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
1.1
公開当時に観て自分の中で封印しました。今改めて世評に立ち向かう覚悟で申し上げます。コケ脅しの愚作です。 中島哲也「告白」

中島哲也がこの小説を映画化すると聞いたとき不安でした。

彼ほどのポテンシャルの持ち主が何も湊かなえの愚かしい原作に手を染めるまでもなかろうに。

でも「嫌われ松子の一生」や「下妻物語」「パコと魔法の絵本」の三作品を撮ったほど彼ならまさか園子温が生み出すようなみっともない映画にはしないだろう。
この小説を完全崩壊して中島ワールドに置き換えてくれるに違いない、と不安を半ば強引に期待に変えたものです。

でも彼は妙に「良く出来た」映画にまとめ上げてしまいました。
何たる失望。

ラスト、松たか子のセリフ「なんてねw」などにこちらが響くとでも本気で思っていたのか?今時こんな皮肉、妄想で日常を支配している高校生男女でも驚きはしないぞ、恥を知れよな、と罵る義務があって然るべきだと思います。
まさに「不安を越えた失望」が現実となったのです。
実際、最初から「不安」さえ抱かない園子温作品などには憤りさえ出ないでありませんか。

結局この手の映画が映画たりえるにはいかに「良くない出来」に仕上げる覚悟が作り手にあるか?という結論めいたものが2度目の鑑賞で湧き出た次第であります。

覚悟を持たない中島哲也に興味は持てませぬ。