せーじ

告白のせーじのレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
2.4
101本目は、以前から気になっていたこの作品をNetflixで。
ある程度楽しみにしていたのですが、残念ながら自分としては、まったく好きにはなれなかったです。

中島監督が得意だからなのかもしれないけど、とにかくハイスピードカメラを使ったスローモーション演出が多すぎるし、それがやたらとクドすぎて閉口。特に、クライマックスからエンディングにかけての、VFXも含めた映像的な演出のしつこさクドさが酷すぎて、げんなりしてしまった。あれを全部通常のスピードに直すか、なんなら1.2倍くらいの速さにして、90分台くらいにまとめた方が、個人的には好みなんだけどなと思ってしまう(それにしたってクライマックスは長すぎだが)。
それ以外の演出も余計なカットを入れ過ぎで、しかもそのひとつひとつがダサいしカッコ悪く感じてしまった。映像が暗めなのも、演出がフィクショナルなのも、狙ってやっている感じが透けて見えてしまって、俗悪で禍々しいというよりも、中二病くさい子供じみた感じになっているのが辛い。

更に、物語自体に全くノることができなかったというのが致命的だったと思う。
そもそも一幕目で事件の大まかな概要と犯人に対しての報復が提示されてしまうので、謎解きや復讐劇としてのストーリー的な推進力が限りなく止まってしまう物語構造なのが、うまくない気がした。そのうえ、真犯人の動機がこれだけ引っ張っておいてそれかよとか、最終的に爆弾を使うって…火薬とかどうするんだよとか(爆弾をつくるには起爆装置よりも火薬の調達が難しい)、社会の歪みを描いているようで実は中身が何にもないところとか、まるで週末の深夜にテレビでやってる若年層向けドラマみたいな安易さと短絡さと雑さが渦巻いていて、(ありえねぇ…)と、半笑いで観るしかなかった。
これが1990年代のお話ならエイズに対する偏見や少年法に対する認識もまだわかるのだが…。もっともエイズについては後でアリバイ的に食物からの経口感染はしないという説明が語られるのだけれども、偏見が生まれたり、少年法が役に立たないことについての具体的な理屈が作品には全く織りこまれないので、説得力があるとは言えないと思う。

ただ、橋本愛さんの演技と、中盤の彼女の"告白"のくだりは、彼女自身から湧き出ているパーソナリティの魅力と、流されない視点があったという演出も含めて、まあまあ良かったです。
松たか子さんは…あれくらいはやれる人であるはずだから普通だなと思いました。
それくらいしか観るところが見つからなかったのが残念ですね…
せーじ

せーじ