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告白のJeffreyのレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
4.8
‪ ‪ ‪ ‪ ‪ ‪ ‪「告白」‬
‪冒頭、とある中学校。生徒達の憂鬱な表情。喧騒な教室。青みかかった灰色、中天、虚空、凍て空の中、独白する女教師。プールに浮かぶ少女、死、虐め、犯人は二人…本作は湊かなえ原作を中島哲也が2010年に監督し、その年公開の邦画の中でも賛否に分かれた問題作を久々に鑑賞したが面白い。ま‬ず陰と陽に分れる蔡明亮監督の「青春伝説」を更に犯罪性を強くし、本作では陰と陰の犯人生徒AとBの設定が面白く、更に殺意があるAと殺意がないBが逆転するとある真相を話しながら変わるショットに自然の雨や空、道端を映し、告白を三十分話しタイトルバックが現れC.ジラフの名曲が流れる下りは最高の出‬だしだろう。そこから語り手が教員から橋本愛演じる女子生徒に変わる。担任も岡田将生演じる若手教員へと変わる。そしてクラスの空気が変わり、ここから木村佳乃演じる犯罪者Bの母親と家庭崩壊の末路と逆怨みが映される。そして犯罪者Aの学校内で同級生に虐められる描写がレディオヘッドの哀しげな音楽‬と共に映され、孤独と喪失感を極限にまで描いた演出は中島哲也に拍手喝采を浴びさせたい。そして松たか子演じる森口悠子がクラスに残した異常で狂気に満ちた混乱と混沌が長く映され、森口が生徒Bにした事と自らがした悪行を赤裸々に語る少年の話を聞く母の驚愕する姿と教員への復讐心が現る。そして少‬年Aと唯一味方をする少女との淡い青春が映され、新たな真実が明らかとなる…ここで冒頭に教員の口から出たルナシー事件が解明され始める。そしてAの過去、母の姿が明かされ加速する真実と展開が繰り広げられる。そしてAが語り手に変わり、Bが語り手に…それぞれの心情が語られる。本作の面白い所は敗者‬の論理と勝者の論理をぶつけた点にある。ネタバレになる為、深くは言及できないが本作に映る勝者は◯◯である。にしても良く空が映り、頭上撮影が目立ち、スローと逆再生、洋楽が流れる作品だ。中島スタイルと映像が今の衰退しきった日本映画の救いの手だ。本作を観た人は誰もが思うと思うが結局森口の‬やりたいことや心情が全く明らかにされていない点が逆に面白いなぁと思うし、画期的な手口で追い詰める復讐鬼を描いた風変わりな作風としてお気に入りの一本だ。子役って程でも無い少年少女達の芝居も監督が上手く導いていて個性を発揮している。兎に角全編通して厭世的でバクバクする…繰り返し観る。‬
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