kasmi

告白のkasmiのネタバレレビュー・内容・結末

告白(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

全体を通して暗くどんよりした画面構成。
校舎のイメージは、学生時代から時が経てばたつほどよく晴れた爽やかな日のものばかりになってしまう傾向にある気がするけれど、思えば確実にあった、不穏で憂鬱な、お腹が痛くなってくるようなじめじめした校舎の姿。

中学生というのは最も獰猛で残酷な生き物だ。
冒頭のクラスルームの描写なんかはリアリティのないくらい騒いだり囃し立てたりしているけれど、これは強調表現、子どもたちの身勝手で独善的な恐ろしさが象徴的に表されている。
いじめの描写もそうだ。人は、集まることで途端に凶暴に凶悪になる。

殺人事件のニュースを見ていてよく、被害者の家族の気持ちを想像する。犯人がいかなる裁きを受けたとて被害者は帰ってこない、そのことに対するやりきれなさを考えはじめると、どこまで考えてもやりきれなくなる。
殺してやりたいと思っても、犯人が死ぬことは復讐にならない。
だったらこの憎悪をどうしたらいいだろうか、どうもしようがないなんてそんな残酷なことってあっていいのだろうか。

その気分に対するアンサーというか慰めみたいな話だった、
ほんとうに復讐するということは、犯人を死刑にすることではなく、彼の一番大事なものを彼の手によって壊させるくらいの精神的苦痛を与えることだ、それによって彼の人生すべてをめちゃくちゃにすることだ。
ほんとうに更生するということは、犯人を刑務所に入れておくことではなく、絶望の淵まで追い詰めて何もかも失った状態で、その先の一歩を考えるときに初めて成されるものだ。

正直この映画単体で見ていると、少年や少女がかわいそうに見えてしまって松たか子だけが恐ろしいと思ってしまいそう、
犯罪者の側にある孤独や背景をきっちりと描いているからだ。
でも、描かれなかった、前提として透明になった、被害者のやりきれなさのほうにも思いを馳せなければ、と思った。

音楽はよくある手法、あたたかでリラックスする音楽が狂気的な映像とともに流れたり、引きこもりのBの脳内世界はポップなアイドルソングでコミカルに表現されたりしていた。

離れてみれば子を殺された母が子に母殺しを仕組むという綺麗で古典的な構造がオチだった。
あととにかく橋本愛と芦田愛菜がかわいかったし、芦田愛菜がこんなに幼くて女子高生がガラケー使ってることに時代を感じた。
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