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ル・バルのsonozyのレビュー・感想・評価

ル・バル(1984年製作の映画)
5.0
1983年のエットレ・スコーラ監督作。
『Le Bal(舞踏会/ダンスパーティ)』

20世紀のフランスの約50年間(1936〜1983)の歴史をパリのボウル・ルーム(ダンスホール)を舞台に、そこに集う女性9人、男性12人、バーテンダー1人のセリフ無し、音楽&男女のやり取り&ダンスで見せるユニークな作品。

1983年のボウル・ルーム。
開店の準備をする老齢のウェイター1人。老齢のバンドメンバーがディスコ調の曲を演奏し始めると、徐々に女性たちが来店。一人づつ鏡(カメラ目線)で化粧などをチェックして好きな席に座る。
続いて11人の男性が並んで登場し、女性たちを品定めするように店内を回る。
というオープニング。

時代は過去へ。
1936年(人民戦線が勢いづく頃)
労働者やお針子たちが集まっている。

1940年(第二次世界大戦中)
避難所となっている店。空襲警報で集まる人々。
警報解除後、ヴァイオリン弾きの女性とウェイター二人の時間。

1942年(占領下)
ナチスドイツの兵士を連れて来た男。
店のラジオの曲を「リリー・マルレーン」に変える。

1944年(解放)
喜び、輪になって踊る男女。
そこに戦争で片脚を失った男が一人戻ってくる。

1946年(アメリカの影響)
コカ・コーラとロックンロール。米兵らしき二人の男も。

1956年(ラテンブーム)
ラテン、サンバのリズム。リーゼントのロックンロールも。

1968年(自由と革命)
ビートルズの「ミッシェル」を歌う学生たち。

1983年(ディスコの時代)
OTTAWANの「T'es OK(You're OK)」が流れるオープニングと同時代に戻る。

それぞれの時代を、テーマ、音楽、ファッションで表現し、時代の切り替えはボウル・ルームに集う人々のダンスシーンのワンショット(それが額縁に入り店の壁に飾られる)。

個性豊かなキャストと音楽も楽しい、見たことのないユニークなアプローチの作品でした。

ベルリン国際映画祭: 銀熊賞(最優秀監督賞)
セザール賞: 最優秀作品賞/監督賞/音楽賞
ほか
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