映画ファンなどと言いながら観れていなかった名作をやっと鑑賞。
一度観ただけではこの作品の真髄は到底理解出来ないであろう、役者の演技の間合いやセリフの行間に深さを感じる映画だった。
旅芸人ザンパノとジェルソミーナの物語。
よく映画の題材になる様な波乱万丈な人生を生きるわけではなく、どちらかと言えば(あえて書くが)取るに足らないこの2人の人生の一場面を切り取って淡々と描いていく。
劇中、身売られたジェルソミーナの台詞
「私なんて生きる価値がない」
に対して
「世の中のものは、例え小さな石ころ1つでも存在の意味があり、役に立っているのだ」
という会話のくだりは、この作品の本質が垣間見えた瞬間だった。
ラスト、ザンパノがジェルソミーナの存在意義に気付き、自分の人生を憂う瞬間の慟哭が切ない。
ニーノ・ロータの哀愁を帯びた旋律も素晴らしく、真髄を掴むまで付き合っていきたい一本。