小

道の小のレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.0
「生誕100年フェデリコ・フェリーニ映画祭」にて鑑賞。『日日是好日』の主人公・典子がこの映画のことを節目節目で語っていて、気になっていた。

典子によれば次のよう。<世の中には「すぐわかるもの」と「すぐわからないもの」の二種類がある。すぐわからないものは、長い時間をかけて、少しずつ気づいてわかってくる。子供の頃はまるでわからなかったフェリーニの『道』に、今の私がとめどもなく涙を流すことのように。>(フライヤーより)

「すぐわからないもの」の方である『道』について、50歳過ぎのオジサンである私が初見でとめどもなく涙を流すことはなかった。でもこの感じ、なんとなく引っかかった。

やっぱり、そうだった。中島みゆきさんのマイベスト曲『誕生』。歌詞を反芻していくうちに、まるで『道』の2人のことを歌っているようにしか思えなくなってきた。

前半はジェルソミーナ。

<畏れながら 憎みながら
 いつか愛を知っていく>

後半はザンパノ。

<祈りながら 嘆きながら
 とうに愛を知っている>

『誕生』の歌詞(引用した部分以外も含めて)を2人に重ねてみると、情景が浮かんで、なんか泣けてくる。『誕生』をマイベストと言いながら、サビの「Welcome」部分にシビレ過ぎて、じっくり味わっていなかったことを思い知らされた。

<Remember 生まれたこと
 Remember 出逢ったこと
 Remember 一緒に生きてたこと
 そして覚えていること>

出会いと別れ、そして愛。もし、ザンパノがこの曲を聴いたら、号泣すること間違いなし。前半の次の歌詞はザンパノにも当てはまる。

<泣きながら生まれる子供のように
 もいちど生きるため 泣いてきたのね>

『道』はザンパノが人として『誕生』する物語だとも思う。
小