ちろる

東京の女のちろるのレビュー・感想・評価

東京の女(1933年製作の映画)
3.7
オープニングの穏やかな姉と弟の風景とは全く想像できない遣る瀬無いラスト。
小津作品の中でも衝撃作としてトップ3に入る勢い。
タイトル「東京の女」=岡田嘉子演じる姉の事だろう。
タイピストして稼いでもたかが知れてる収入の中で、弟の学費を必死に稼ぐ。
それが生きがいであり、幸せの形だと言わんばかりに弟を見送る彼女の姿はとても美しい。
まだおぼこい雰囲気を見せる田中絹代演じる恋人ほ天然な振る舞いと、岡田演じる姉の覚悟の違い守る女と守られる女として対比されるが、その彼女たちに対する弟(江川)の言動は明らかに女性軽視なものである。
時代のせいなのだろうか。
あまりのも残酷で誰に対しても救いのないラストに、この時代の理不尽さを感じずにはいられない。
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