ホイットモア大統領

県警対組織暴力のホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

県警対組織暴力(1975年製作の映画)
4.4
2019/5/2 国立映画アーカイブにて特集「映画監督 深作欣二」で鑑賞。

観たのは高校の時以来でしたがやっぱり傑作ですね。ぶっちゃけ『仁義なき戦い』の2匹目のどじょう狙いのところはあったと思いますし、出てる面子や監督・脚本も同じ人たち(何なら文太の役名も一文字変えただけw)なんですけど、本作がそれだけに留まらなかったのは、深作欣二監督やこの時代のバイオレンス映画の一つの到達点だからでしょう。

冒頭、文太刑事が下っ端ヤクザを扱き、ライターを取り上げるシーンからトップギアで笑わせてくれますし、拓ボンの伝説の全裸取調べシーンも、松兄ィと池玲子の壮絶なファ◯クシーンも、辰兄ィの一本背負いも映画館の大画面スクリーンで観ると迫力満点💯!!
夜食のカレー🍛をバーンッ!のシーンだって、大画面で観たらあんなマズそうな色してたんだと。でも食べたくなるなと笑

とはいえ締めるところは締める作品だからこそ評価が高いわけで、茶漬けからの哀愁漂う皿洗いから、一触即発で緊張感張り詰めるクライマックスまで、文太と松兄ィの兄弟演出が冴える。辰兄ィのラジオ体操も、今までの勢いと対比して淡々とできるところに、より一層の憤りを感じさせる。

反面、暴れ回る文太と松兄ィを含む、いつもの遠藤太津朗、いつもの金子信雄、いつもの成田三樹夫、いつもの室田日出男は、家に帰ってきたような安心感を与えてくれるし、意外とこの辺が作品崩壊の抑止力になってるのかもしれないなと感じたり。

政治絡みの疑惑や汚職のニュースが多い昨今。この時代に描かれ、警鐘を鳴らしたものは変わってないのかもしれないと考えた時、文太のような人がどれくらい残ってるかと思うとゾッとします。