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大人は判ってくれないのTSのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
3.6
【成長の妨害者】76点
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監督:フランソワ・トリュフォー
製作国:フランス
ジャンル:ドラマ
収録時間:97分
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トリュフォーの代表作の一つ。微妙な邦題の中でも今作は優秀な邦題と思われます。まさしく邦題通りであり、子ども社会を正しく理解できていない大人たちの態度がひたすら気になる映画です。最後の主人公のアップはとても印象的です。その顔で全てを物語っているようでもありました。

12歳のアントワーヌ・ドワネルは学校に通っていたが成績も悪く、頻繁に悪戯もするためいつも教師に叱られている。そんなある日、道端で母親が知らない男といるのを目撃するのだが。。

この少年はさぞ辛かったでしょう。勉強もできない、その反動として悪戯をするが教師に叱られ続ける。家に帰れば両親はいつも喧嘩状態。挙げ句の果てには母親の浮気姿を見てしまうのですから溜まったものではないです。そういうこともあり、ある日無断欠席をしたので教師に咎められるのですが、「母は死にました」と言うのです。最初は信じてもらえましたが、もちろん嘘の発言であり、バレてから酷い仕打ちを受けます。

さて、この子どもが悪いのでしょうか?否、子どもは成長段階の存在であり且つ純粋な存在です。純粋さを保ちながらも成長するのを見守る。それが大人の役割の一つとも言えます。ところが今作の大人たちは完全に「成長の妨害者」であります。両親は子どもに関心はないし、むしろ厄介者と思っています。教師に関しても、現在の教師観と比べると大きくかけ離れていますし、とても子どものためにとは思えないです。

子どもは様々な悩みを抱えており、子どもは何気に大人の助けを待っています。なのにこのタイトル。皮肉以外の何者でもないでしょう。淡々としていますが良い意味で頭を痛めてしまう名作と言えます。
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