Iri17

大人は判ってくれないのIri17のレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.7
トリュフォーが高く評価されるきっかけとなった作品。これほどストレートに心に響く題名の作品もなかなかないだろう。

子供の苦しみや悩みを大人は判ってくれない。かつて自分も子供だったにも関わらず、大人はあさましくて、下劣な考えを押し付けて、子供を自分の支配下に置こうとする。産んでやったんだ、育ててやってるんだという得意げな顔で。
子供には子供の苦しみがあるし、それは大人の苦しみと同等か、それ以上かもしれない。
主人公の少年は、傲慢さと薄汚さの跋扈した社会で苦しむ。純粋な少年であればあるほど、その不純な社会との狭間で苦しまなければならない。
少年が大きな海に見たもの、それは自由であり、純粋さであり、真理であったのだと思う。しかし、その海に背を向け振り返った時の少年の顔は大人の社会への不快感と忌避感に満ちた顔だ。少年のことなど大人は判ってくれないから。

僕も少年時代が全く楽しくなかったし、大人への不信感を抱いていたので、僕は少年のように海への憧れを忘れないような大人になろうと思う。少年が辛い現実から映画の世界に逃げたように、僕も映画に逃げていたから、同じように現実に押し潰されそうな子供に寄り添えるような大人になりたい。ブラック企業やクソ教師、クソ親なんかにはならないでね。
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