Jean

大人は判ってくれないのJeanのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.4


子供が何かを捉えようとしている様が随所に感じられた。それは、夫婦喧嘩、母親の浮気などに敏感になったり、学校をサボり友達と映画を観に行ったり、家出をするなどありとあらゆる興味と関心に関わる。

教育においても、親と教師の間に板挟みになった子供の心情が強く印象に残った。子供にまず寄り添う気持ちが教育の第一歩であり、子供に対して想像力をめぐらしてあげることが愛情なんだと思う。学校に行かない、窃盗をするなどの原因がどこからきているのか誰も深く考えようとしていなかった。表面的なところで解決しようとしている。子供を軽視しているのだ。同じ人間である以上、子供だからとか大人だからというのは本当にないと思う。子供でも人を思う気持ちはあるし、読み書きや数学はできなくても物事を捉えようとしている。

ドキュメンタリー風に少年の行動を描いたショットは、ヌーベルバーグに影響を受けたショットが多く好奇心を煽られた。ラストショットもまさに!と言った感じである。

ジャン=ピエール・レオーの告白シーンは本当に自然な演技で凄かったけど、セリフは彼が考えたと言うことで納得した。彼の成長してからの演技もみたい。

ジャンルノワール
単純さと人間への思いやりがある。解決策を求める、あざとくはったりを利かせたり、スタイルを作ろうとはしない。さまざまなテーマを扱った作品を見ればすぐにわかります。若い監督が行き詰まったときは彼のやり方を考えれば解決策が見つかるはずです。

ロッセリーニ
装置や技術としての映画を完全に無視するところです。脚本は不可能なことばかり。大勢のエキストラが必要なところを実際の映画では書き割りを前に数人の兵隊。不思議と非凡な作品になる。その良さは口では表せない。対象を前にした自己放棄と慎ましさから生まれたもの。その精神からこんな傑作が誕生した。結局私が影響される人というのは映画に対して劣等感がない人が人物や物語やテーマを何よりも重要視する人です。

作品について10行で語ることは非常にいい知的訓練になる。
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