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大人は判ってくれないのadeamのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.5
青春映画という言葉でくくるにはあまりにも鮮烈なトリュフォー初の長編作品。
ゴダールの「勝手にしやがれ」と並んでヌーヴェルヴァーグの着火点的な作品ですが、革新的な技法が多用されたあちらと違い、本作はテクニカルにはさほど目新しいところはありません。その分、より普遍的な作品ではある気がします。
子どもらしい無邪気さを持ちながら、ただ無邪気なだけの年ではもうない。自分の思春期とまだ折り合いがついておらず、世の中を、そして周りの大人をインチキだと感じる、サリンジャーの小説に通じるような世界観が瑞々しく繊細に描かれます。
大人になることから逃げるように、母性を象徴する海をひたすら目指し、何かを訴えるような眼差しをこちらに向けるラストカットが印象的です。
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