ノリオ

大人は判ってくれないのノリオのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.1
言わずと知れたヌーヴェルバーグの代表作。


『ワカラナイ』の小林政広は映画の最後に「アントワーヌ・ドワネルと父に捧ぐ」とだけ出した。
もう何年も見ていない、最後の見たのは学生の頃か。
正直アントワーヌシリーズはすべて網羅しているわけではないのでこれを機に見ていない作品も含め見ていこうと思う。

少年の疎外感と孤独を描いているのだが、不思議とそこに暗さはない。
アンリ・ドカエの映し出す映像は流麗で、また自由な空気に満ちている。

アントワーヌ・ドワネルは状況に悲観しているように見えない。それよりもむしろ誰よりも客観性をもって状況を観察しているように見えなくもない。

彼は“大人”たちが判ってくれない、ということを判っている。
けれどその状況を打開する術を持たずにいる。そうするにはまだ幼いのだ。

瑞々しく自由、それでいて繊細さもそこにはある。


ラストシーン、アントワーヌ・ドワネルは我々を見つめる。
目を逸らさず彼の目を見つめなければならない。
何故だかそう思わせるのだ。
ノリオ

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