こく

わが街のこくのレビュー・感想・評価

わが街(1991年製作の映画)
4.1
『スター・ウォーズ』『インディ・ジョーンズ』の2大シリーズに脚本家としてガッツリ関わってるローレンス・カスダンの群像劇。

PTAの『マグノリア』やロバート・アルトマンの『ショート・カット』を観ているようだった。カスダンの方が先に撮ってるのにも驚いた。

人種差別、貧富の差、凶悪犯罪などで病みきった90年代のLAを舞台に、様々な人々の人生が交差し、偶然が人の生き方を変えていく。登場人物たちが何度も口にする「この街はいかれてる」「この街は腐りきっている」という言葉が重い。

「この格差による分断や暴力は止まらない」と語る映画プロデューサーが一番リアルに世界を観て、現代を予見しているような気もした。

「偶然は奇跡かも。でも、その啓示に気付く人は少ない」という主人公の妻の世界の捉え方は好き。それが、いかれた街の中で、まともに生きていく為の希望なのかも。

LAよりも銃声が少ないだけで、今の東京も確実に狂っているように思います。グランドキャニオンで何かを感じたであろう本作の主人公たちのように、例えば、富士山で何かを感じる東京の人はどれくらいいるのか。意外と高尾山あたりでも、満足しちゃうかも。
 
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