マリーとジャンは、結婚して25年になる50代の夫婦。毎年、夏になるとフランス南西部へバカンスに出かけ、別荘で過ごすことにしています。
そして今年も…いつものように…マリーが浜辺で昼寝をしていると、ジャンが行方不明に…事故なのか?失踪なのか?
オゾン監督の、初期の作品でとてもヌーベルバーグ的。色々と深読みのできる作品になっています。
美しく歳を重ねたC. ランプリングの存在感がこの映画の全てと言っていいくらい、まるで彼女の一人芝居のようです。
夫ではない男性とのベッドシーンで「あなた軽いのよ」と言いケラケラ笑うシーンはとても印象的です。
単に夫の体重と比べているのではなく、"存在の耐えられない軽さ(?!)"と受け止められます。
また、姑と話す嫌味な言葉のひとつひとつも、女性以上に女性を描くのが素晴らしいオゾン監督には圧倒されます。
究極の愛でどんどんと壊れていくマリーを演じるC.ランプリングは圧巻。彼女は大学教授役で、そこで教えているのが、入水したヴァージニア・ウルフというのも秀逸です。
そして、いつしか現実と、非現実の狭間で彷徨い、まるで、これまで一緒に過ごしてきた年月こそが"まぼろし"かもしれない…そんな疑念も湧いてくるようになります。
作中、流れるchanson、大好きなBarbara の曲、
♬Septembre (quel joli temps)
歌詞がマリーの心情にピッタリでステキな曲です。
ラスト、夫のまぼろしを追いかけて砂浜をかけて行くシーンは涙を誘います。