アキラナウェイ

クリスマス・キャロルのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

クリスマス・キャロル(1938年製作の映画)
3.5
Merry Xmas!!
たまにはクリスマスらしい作品を。

1843年に出版された英国の文豪チャールズ・ディケンズの中編小説が原作。数多く映画化されているけど、1938年にアメリカで制作されたレジナルド・オーウェン主演版を鑑賞。

冷酷でけちな老人スクルージは、いつも不機嫌でクリスマスが大嫌い。そんな彼を周囲の人も疎ましく思っていた。クリスマスイブの夜、以前の共同経営者であったマーレイの幽霊がスクルージの前に現れ、これから彼の前に過去・現在・未来の精霊達が現れる事を告げるのだった—— 。

モノクロで描かれる、古き良きロンドンの街並み、人々の暮らし。

偏屈なスクルージや、彼の甥であるフレッド、スクルージに雇われているボブとその家族達。登場するキャラクター達が皆、活き活きとして愛おしい。ボブの息子で足の悪い少年ティムが特に可愛い。

過去、現在、未来の精霊達に導かれて、様々な風景を見せられたスクルージの喜怒哀楽の表現が実に豊か。

特に過去の精霊に見せられた少年だった自分と対面し、童心に帰ってはしゃぐ姿が可笑しく悲しい。

昔はあんなにクリスマスを楽しめていたのに。今は自分以外の人達だけがクリスマスを共に喜び、未来の自分は葬儀に誰も現れず、ひっそりと死を迎える。

改心したスクルージは人が変わったように人々に施しを与え、笑顔を見せるように。

全ての人々の幸せを願う。
クリスマスの本質を改めて教えてくれる、普遍的なテーマが素晴らしい。

そう、今日だけは世の中が平和でありますように。
なんてったってクリスマスなのだから。