ほーりー

耳をすませばのほーりーのレビュー・感想・評価

耳をすませば(1995年製作の映画)
4.3
中学の頃、修学旅行の夜に同部屋の奴らと、「その後の耳をすませば」というお題で、妄想トークして盛り上がった記憶がある(笑)

中学生だから、内容はかなりクダラナイ(だいたい天沢聖司のストーカーオチ)のだが、裏を返せば、それだけ皆「耳すま」が好きだったんだと思う。

もう、この映画がキライって人がいたら、説教もんだよネ。

世間一般が高橋一生に大騒ぎするずっとずっと前に、すでに我々は天沢聖司で盛り上がっていた訳である。
でも、久しぶりに見返すと、高橋一生の声が今と全然違うから、同じ人とは思えん…

今、この瞬間を生きることの大切さって、他人からあーだこーだ言われて理解できるものではないと思う。

例えば、月島雫がそれまでやってた受験勉強を放り出して、あることに熱中するが、そこで彼女は初めて壁にぶち当たる。

ぶつかったことで、今何が自分には足りないのか、今何をしなければいけないのかがやっと理解できた彼女は、再び自分が歩むべき道に戻る。

というように「カントリー・ロード」の歌詞も含めて、かなりスパルタ的な内容(挫けるな!過去に逃げるな!前に進め!だもんね)だけど、そこが説教臭くならないのは、登場人物たち全員が現在進行形で生きているからに思う。

雫も、聖司も(あと雫の姉も、夕子も、杉村も)葛藤しながらそれでも前を向いている姿に観ている我々は共感するのだと思う。

そこに雫の父や聖司の祖父(小林桂樹の名演!)という大人たちが、決して若者たちを否定せず、まずは荒削りの部分も含めて認めてくれるところに、この映画がシビアにならないギリギリの線を保っている…そんなような気がする。

こういう映画こそ、学校は生徒(特に中3)集めて見せなさいよ。

あと、エンディングで、夕子と杉村の姿が映るシーンにいつもホッとさせられる。
ほーりー

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