ハル

耳をすませばのハルのレビュー・感想・評価

耳をすませば(1995年製作の映画)
3.6
たまにはアニメーションもいいんじゃないかってことで、だらだらと書いてみます。

結論から言いますと、私はこの物語を、中学生の甘酸っぱい恋物語としてではなく、サイコスリラーとして捉えております。

何をもってそう考えるのかと問われれば、やはり、天沢聖司君の異常性を挙げるしかないでしょう。

私が敢えて指摘するまでもなく、彼(声・高橋一生)はストーカーです。

例の図書館の本のくだりですが、雫ちゃんが借りる前に全部彼が借りていますね。見方によっては、聖司君が雫ちゃんのことをずっと前から狙っていて、彼女の意識を自分に向けるためにそうやったのだと考えられなくもない。多少なりとも、危機管理能力のある女性なら、このような行為に対して警戒心を抱くでしょう。しかし、雫ちゃんは、見事に彼の術中にはまってしまった。まぁ、空想の世界がすべてと思っている清廉な少女ですから、のぼせ上がるのも無理はなかったでしょう。しかし、大人になり、汚い現実を知るにつれて、彼女も彼の異常性に気づくだろうと思います。

5年後、あるいは、10年後、雫ちゃんはバイオリン職人となった聖司君と結ばれるのか? その可能性は極めて低いと思います。

何故なら、聖司君のようなタイプは付き合いだすと必ず変貌します。かまってちゃんの束縛野郎になるのは目に見えていますから。

以上のことに注意してこの物語を具に見てみますと、甘酸っぱい恋物語とは程遠い内容に思えてきます。

いや、むしろ、「こういうのに溺れるのは若いうちにしておきな」という警告さえ込められているような気がして、非常に勉強になります。

このように、人気のある作品も、ちょこっと視点を変えてみれば、それまでは見落としていた色んなことに気付くかもしれません。