ホイットモア大統領

宇宙からのメッセージ MESSAGE from SPACEのホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

4.4
未知なる宇宙へ
あなたの夢を誘う!
驚異のスペース・アドベンチャー

壮大なファンタジー音楽をバックに映し出される荒波と東映ロゴ、ってところからカオスなんだけど、スコアの名曲加減とタイトル・インのカッコよさで既に悶絶。

『スター・ウォーズ』の日本公開を前に、石ノ森章太郎&原作翻訳家の野田昌宏を迎え、国際色豊かなキャスト、製作費:約10億円の巨費を投じたSF超大作!!!

しかし、その正体は…!
「里見八犬伝」をモチーフに、当時の東映ドル箱コンテンツであった『宇宙戦艦ヤマト』と深作映画をMIXさせた、スペース・ヤクザ・時代劇!!!宇宙でヘビ皮ジャケットにステテコ履かすんじゃないよ!!笑

まあ、そもそもが便乗映画なんだけどね笑

でも、4ヶ月後に大ヒットした『さらば宇宙戦艦ヤマト』は本作の影響をモロに受けてるし、ほぼ同じ主役面子による『里見八犬伝』の成功も本作があってこそ!
けどそれ以上に、本家のスタッフが撮影現場を訪れ、全米でも大ヒットし、『Ep.6』では本作のトンネル・シーンを真似た(らしい)エピソードにマジで笑う笑

この便乗映画の枠に止まらないオリジナリティ、もとい魅力は、70年代東映の勢いとカオスな世界観にあって…

断じて…!断じて!!
“リアべの実” は “クルミ” ではない!!!

天本英世を母上と呼ぶところから草生えるのに、三谷昇も婆役とか、なぜ女優を使わない!?

「超原爆ミサイル」というウルトラ不謹慎な兵器。

R2-D2より可愛いベバ2号。

唐突に、しかも謎の惑星で馬に乗って現れる、ハンス王子こと我らが千葉真一。

そして、今回のヒロユキはあくまでも脇役。名はシロー。しかも前半は、仲間と共謀して化け物に王女を売り渡したり、クラブで皿洗いしたり、かなりの屑っぷり。

対して、やはり1番目を引くのは成田三樹夫演じるガバナス皇帝ロクセイア。銀色顔に時代劇調の台詞回し、千葉チャンとも渡り合うチャンバラは魅力しかない。

また本作は、明日使いたくなる名台詞が盛り沢山!中でも特に好きな “宇宙からのメッセージ” を紹介。

ガバナス兵士
「生命が尽きましてございます。」

ロクセイア皇帝(成田三樹夫)
「よし、特に許す。」
「ガバナス人の面汚しじゃ!その死体、早々に取り捨てい!!」

ハンス王子(千葉真一)
「慮外な!名乗りもせずに斬り掛かるとは、賊か?はたまた狂人か!?」
「おのれ!ロクセイア!!宇宙に殺戮と恐怖をもたらした張本人…その罪、万死に値する…死ねぇえ!!!!」

ガルダ将軍(ビック・モロー)
「我々はちっぽけな存在に過ぎないが、せめて夢だけは無限でありたい…」

世界よ、これが邦画だ。
そして今の邦画よ、これが映画だぁあああ!!!!