えびちゃん

ジャック・ドゥミの少年期のえびちゃんのレビュー・感想・評価

ジャック・ドゥミの少年期(1991年製作の映画)
4.0
ジャコ少年が名匠ジャック・ドゥミへと育っていくニュー・シネマ・パラダイス、と言いたいところだけど、究極の愛の結晶たる映画だった。
ジャコ少年時代の体験を思い出し紡ぎながらドゥミの映画は製作されていった、というのを妻のヴァルダが丁寧に再構築していく。体験と作品を交差させながら。
たびたびインサートされる存命中のドゥミにヴァルダの愛がみっちみちに詰まっていてじわっとくる。白毛の混じる体毛も顔のシミもしわしわの指もドゥミのすべてが尊敬の対象であり愛おしかったんだね。夫の命の灯がじわじわと燃え尽きていくさまを隣で感じながら、目線を逸らさずにフィルムに焼き付ける。彼女なりの心の保ちかただったのかもしれない。
あばれでる愛の形を見せつけられた。ドゥミの映画製作への愛、ヴァルダのドゥミへの深い愛。浜辺でのドゥミの穏やかな表情がヴァルダの愛への答えなんだと思う。
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