吉田輝雄と天知茂という両極端で魅力的な二人を見るとどう見ても天知茂派！とか思ってしまって澁澤龍彦や美輪明宏がファンだったのも頷ける。
中川信夫の『地獄』も同年で同じくめちゃくちゃだったが、石井輝男のこっちも神戸の歓楽街セットがあまりにも最高。
物を介して進んでいく語り口にフリッツ・ラングの『スカーレット・ストリート』みたいな流暢さを感じ、飲み屋街に移ってからはいきなりアヴァンギャルドっぽさを増す。
ラストはもはやファンタジーだしどう見ても白人に黒人のメイクをしているような駄目さがあるが、やはりこういう歪な作品ほど面白さを感じる。
今の世の中はきれいになりすぎている。
