けんさん

わが教え子、ヒトラーのけんさんのレビュー・感想・評価

わが教え子、ヒトラー(2007年製作の映画)
3.4
「善き人のためのソナタ」で好演したウルリッヒ・ミューエの遺作と知り鑑賞。

内容の良し悪しはともかく、監督がユダヤ人で、ヒトラーの弱みや悩みをコメディタッチに描き、またヒトラーの側近達も無能な取巻きとして描かれたナチス映画のパロディとして観れば「ま、いいか」と思える作品。しかしながらヒトラーがあまりにも全然似ていないのは笑いを誘うため?

また同作品は、ヒトラーの演説を指導した「パウル・デブリエン」と言う人の記録を元に作られた作品とのことだが、実際はそのような人間がいたという点だけが史実らしい。

但し、ウルリッヒ・ミューエの魅力を堪能するならば「善き人のためのソナタ」よりも、同作品の方が良いと思った。

ミューエの持つ優しさや厳しさ、また哀しみ、知性が演技やその表情に良く現れていたと思う。
そう言った意味では、ミューエの遺作に相応しい演技を発揮した作品だと思いたい。作品数が少ないだけに。

額に血を流しながらも、笑顔で終わるミューエのラストシーンは、しっかりと頭と心に焼きついた。
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