Taku

忘れられた子等のTakuのレビュー・感想・評価

忘れられた子等(1949年製作の映画)
4.0
稲垣浩は『無法松の一生』でも思ったが、子役の魅力を引き出すのが巧い(演技の巧さとはまた違う)。時代柄か「精神薄弱児」に対する台詞に多少違和感を感じたり、教育現場を理想的に描いている点は気になるが、総じて良かった。終盤のスペクタクル、どうやって撮影したのか…?

他のユーザーの感想・評価

Gocta

Goctaの感想・評価

-
学校に赴任してくるが意に反して特殊学級を持つことになった若い教師が、少しずつ子供たちを理解するようになり、子供たちの様子・行動を変え、そして自分自身も成長して行く物語。心が洗われるような内容で、とても良かった。
邹启文

邹启文の感想・評価

4.0
今でいうひまわり組を題材にした学園ものって感じだね

「手をつなぐ子等」でも思ったが子供たちが自然的すぎる
ドキュメンタリーを撮ってたら劇映画みたいになったのではと勘違いしてしまうほどリアル。どうやって演技指導を行ったのだろうか
うどん

うどんの感想・評価

4.3
9/23@新文芸坐

特別学級のクラスの担任を受け持つ事になったた新米教師。

手をつなぐ子等の続編的な内容。
笠智衆の温厚な教師を見たあとだと、若先生・堀雄二の粗暴な振る舞いに面食らうけど、この四面楚歌の状況では無理ないのかも。
最初がアレなので、彼への好感度はグングン上がる。


同じ状況下にいる子同士で助け合う姿に心打たれる名編。
西瓜

西瓜の感想・評価

3.0
特別学級のプレートが繰り返し映され、そのたびに変化していく。黒板に書いていたカウントダウンを消したその瞬間もいい。みんなの成長。
【信じて待つ】171

笠智衆の「ぼくはずいぶん待ったよ」が印象的。この後に見た「手をつなぐ子等」と比べて、舞台が戦後なので全体に明るい理想主義に満ちている。
先生が変われば生徒も変わる。世界や世間は変わらなくても、自分たちは進んでいく。特別学級の子の中にも、歌の上手い子、絵がめちゃくちゃ上手な子、ときどきはっとするような才能を見せる子もいるし、そうでもないやつももちろんいる。みんながどこか尊重されるように育ってほしい、もちろん口で言うほど易くはないんだけど、その心根はとても好ましい。時代的に、まだ「そのままでいいんだよ」という方向には行ってない。
子どもたちのあまりに汚い顔に呆れ果て、めちゃくちゃ乱暴に顔を洗ってやったあと、自分の手拭いを貸すのをためらって、みんなに顔の天日干しをさせてた堀雄二(みんな素直に、校舎に寄りかかってぼんやり顔を干してたのが、もののけ姫のこだまみたいでめちゃかわいい)。映画のラストのほうではさっと自分のハンカチを出して拭いてやってた。そんな細かいところに泣けてくる。
theocats

theocatsの感想・評価

5.0
ネタバレ
特殊学級の先生が児童達に愛を抱く過程

1949年モノクロ映画。
見始めて精神薄弱児(現在は知的障害)を扱う映画と知り鑑賞を止めようとしたが、そこを堪えて見進めたら意外な感興体験。

新任男性教師が笠智衆校長になだめられ嫌々ながら特殊学級担当となるも、最初は2年の我慢と投げやりな授業。
子供達はほったらかしにして自分の絵だけをかく毎日だったが、子供たちの余りの汚さに呆れ果て全員の顔を洗ってあげたことから何かが芽生え始めた。

次なるは自らの画材道具を売りさばいたお金で全員分の歯ブラシを買ってあげ歯磨き教室。そしてバリカンで散髪。
全員の身だしなみが整った頃から勉強も体裁を取り始める。

いつしか黒板の2年カウントダウン日数も消してしまい、社会に出でていくための子供たちの天分を育てようと躍起。

途中、特殊学級生徒を悪だくみに利用する悪童のいじめの問題などあるも、決して暴力によらず穏当な諭しで双方に気づかせていく。

そして、笠智衆校長との約束である2年を迎えることになるが、もう離れられないくらい子供たちを愛するに至っていた教師は学級受け持ちの継続を涙ながらに請うことになる・・・。

そんなべたなストーリーながら最後はやられてしまいましたね(笑
先生を通して愛情たっぷりに子供たちの頭をなでる感覚も疑似体験できたような気がします。

女性教師でなく男性教師で物語が成立するか非常に疑問でしたが、いやいや見事に最後まで持っていきましたね。
古い人間ばかりでなく若い人がもし見る気になったら、まぁ最後まで根気よくご覧になってください。

012005
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