LAの向かう元警官の家族は、途中かつて銀鉱があったところに立ち寄るため、ハイウェイから外れるが、事故に遭い立ち往生してしまう。
元警官の父と娘婿が助けを求めるため出掛けている間は、母と娘2人と息子、更に長女の娘が残るが、飼っている犬が行方不明になり…。
『エルム街の悪夢』『スクリーム』を世に送り出したウェス・クレイヴン監督の、世間を騒がせたデビュー作『鮮血の美学』に続く2作目。
中流家庭の一家が食人一家に襲われるってプロットなんだけど、この食人一家があまりに弱く見た目もあまり奇怪じゃないのでホラーとしては弱い。
だが、後半はそんな見た目も力も弱い食人一家を中流一家が迎え撃つというホラーにしては珍しい展開になるのは面白い。
『悪魔のいけにえ』の3年後封切りだから、多分に影響は受けていてもしょうがない。
しかも7年後(‘84)に公開された『サランドラ2』は当時一斉を風靡してた『13日の金曜日』のフォーマットだと言うし(見てないけど)、そんな行当りばったり感は映画の随所に溢れている。
派手な見せ場や、鮮血が飛び散る程の強烈な人体破壊描写がある訳ではないが、人を傷付け死へと追いやる“暴力”への問い掛け等、本作でも既にクレイヴン節は炸裂している。
だが、都会と田舎の2つの家族の対立の構図にはさほどの意味は無い。
別に家族じゃなくてもいい、だいいち犬が加勢してる。
だが、一般人と狂人との対決図式のバランスはイイ采配だと思います。
その中でも良かったことは、暴力を信じていなかった人間が、最後はやらなければやられるという状況において人間性がかわっていくというところに不自然さをあまり感じなかったところかな。
だが特筆すべきことはこれ…。
妹うるさい!!!
ギャーギャー騒ぎすぎで耳塞ぎたくなる。
まあ騒いでばっかで役立たずってわけでもなく、ちゃんと活躍はするので良しとしよう。
でもラストが思わず、ずっこけそうなほど唐突に終わる。
最期に、本作『サランドラ』は、スペインのシトヘス(シッチェス)国際恐怖映画祭にてグランプリ受賞作品であった事をここに記しておく…。
余談。
お話のモデルとなった15世紀のスコットランドで起きた事件。
『ソニー・ビーン一家』
海岸沿いの街道で20年に渡って旅人が姿をくらませていた。
行方不明や殺人などの捜査が行われたが失踪者の足取りはようとして分からなかった。
そんなある日、夫婦者が件の海岸を通るとボロを纏った大勢の強盗団に襲われた。
夫は命からがら逃げ出し政府に捜査を直訴。
男のただならぬ状態にスコットランド王は400人の大部隊を向かわせた。
現場には追剥の行われた痕跡は何一つ無かったが、調査隊はある洞窟を発見する。
はたしてその洞窟にあったものとは、おびただしい数の死体や吊り下げられた人体部位、塩漬けの人肉。
それと異様な目で睨み返す50人は居ようかという不気味な集団だった。
集団の正体はその洞窟に20年前から住み続けている、流れ者ソニー・ビーンと妻、そしてその子供達が近親交配を続けてきた大家族だった。
彼らは文明と交わることなく、一切の疑問も持たず空腹を満たしてきたのだった。
殺された人は300人にのぼるという。
その後、裁判も無く速やかに全員処刑されたという。