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パンチドランク・ラブのninekoのレビュー・感想・評価

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)
4.0
ポール・トーマス・アンダーソンという監督にとって、転換点となったのはこの作品なのではないかと思う。この作品が、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、『ザ・マスター』、『インヒアレント・ヴァイス』(とくに『インヒアレント・ヴァイス』は近いかも)を撮った人間の作品だと言われてもとくに違和感はないけれど、『ブギーナイツ』と『マグノリア』を撮った人間の作品だと言われるとにわかには信じがたい。後者2作で採用していた群像劇のスタイルを捨て去り、極端なまでに主要登場人物を絞り込む(早い話が、ここからの4作はいずれも「1人の孤独な男と、彼に関わるもう1人の物語」まで抽象化できてしまう)ようになるのは本作からだし、忙しなく動くストーリーではなく静止した「画」ひとつでグッと引き込んでくる視覚的演出のキレもここから現れてきているように思える。鳴る音楽のチョイスも然り。

上に書いたような気付きがあった一方で、本作はそのような作家研究的な意味合いにおいてしか観る価値のない作品であることもまた事実......なーんて意地の悪いことは言いません。短いし何てことのない映画だとは思うけれど、個人的に素直に好きなんすよこれ。