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パンチドランク・ラブのblacknessfallのレビュー・感想・評価

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)
3.8
これ、2位だなポール・トータス・アンダーソンの映画で。1位は『ブギーナイツ』な。
『マグノリア』ほどおもしろくはなかったんだけど、本作の方が圧倒的に上映時間が短いから、その差で2位。
上映時間に拘って作品選んだり、長時間の作品を忌避するのは良くないという向きもあって、SNSでも時々論争になるよな。上映時間問題。
おれは俄然気にするし、上映時間3時間だと構え躊躇するぜ映画館行くの。
『RRR』を推してる方なんかも長さを感じさせないおもしろさだったから観てくれと言ってるし、当の映画アカも上映時間を気にせず観てほしいとアピってた。それは分かってるんだよ。上映時間が長いからつまらないと思ってるわけじゃない。問題はそこではなく、単純に疲れるし、何より尿意の問題なんだよ🚽💨
どうしたら3時間越えの作品を映画館で観てもらえるのか?と悩んでる映画館のアカがあったけど、そんなのトイレ🚽休憩入れれば、見に来ると思うぞ。尿意に襲われると意識を膀胱に取られてストーリーやセリフが追えなくなる。見逃しが多くなる。それがクライマックスや重要なシーンならばその映画を観たとは言えないじゃないか。高い金払ってそんなの悔し過ぎるじゃあないか😤
映画ファンなんて高齢化してて、それがこれからドンドン高齢化👴👵してみんな今より頻尿になるんだよ💨 そして足腰が弱って離席時間が長くなるからいいとこ見逃すわけなんだよ。眼も悪くなってるから暗闇で何かに躓いて下手したら死んだりするしな😇💦
そんな不利益やリスク覚悟で3時間越えの作品なんか観に来ないんだよ。本人が行きたくても子供や孫が止めるしさ。だから3時間越えの作品にはトイレ🚽タイム設けてくれよ。
なので上映時間気にする派を否定する人には他者を思いやる心と自分も老いて頻尿なるかも知れないという想像力を持つべきだと思う。と、偉そうに言っておきながら本編に触れないことを延々と書くレビューがいかに読み手をイラつかせるかを考えず、長々さーせんでした🥺 以下本編のレビューになります。




主人公のバリーは青年実業家、と言ってもトイレ詰まりを解消する棒を販売する弱小会社経営者。仕事はそれなりに順調。
しかし、元々キレやすく不安定なメンタルに拍車がかかっている。キレて物を破壊するかと思えば突然泣き出しする。
その漠としたながら強く纏わりつく不安や孤独感から逃れるため、マイレージポイントが付いてくるプリンを買い漁る。それでもダメな時はテレフォン・セックス・ダイヤル☎️に。
このテレフォン・セックス・ダイヤルは詐欺で誘導され個人情報をテレフォン・セックス・ギャルに教えてしまったバリーはダイヤルを仕切切る半グレに揺すられるハメになる。
そんな最悪なタイミングで7人いる姉の一人からある女性を紹介され恋に落ちる。しかし、テレフォン・セックスに時代を感じた。2002年はまだまだアナクロだったんだな。

よくあるラブコメなんだけど、やはりP.T.A.ことポール・トーマス・アンダーソン監督なんでひと味違う。恋愛のトキメキよりも現代人の心の不安、バリーの精神に在り方から資本主義社会で生きることの虚しさ、普遍的な現代人の不全感と孤独を印象強く描き出す。
自分的にはラブコメで『ファイト・クラブ』をやったように感じた。主人公がそっくりなんだよ、それなり金も地位も手にしてるけど満たせれないどころか砂を噛むよう虚無感と孤独に苛まれてる。その不安をショッピング(ファイトクラブは高級家具、本作はプリン)とカウンセリング(ファイト・クラブはガン患者のグループミィーティング、本作はテレフォン・セックス)に逃避してる。
そんな閉塞した生活がある出会いをきっかけに劇的かわる。
ファイト・クラブではそれがタイラー・ダーデンだけど本作はバリーの姉が紹介してくれた女性なんだよ。
この現代人への問題意識の目線が『ファイト・クラブ』の原作者のパラニュークに近いものを感じて、これも原作パラニュークかと思ったけど違った笑 時代の問題意識を優れたクリエイターは共有するのか?

タイラーは主人公の妄想が産み出した理想化された自分だったけど、本作の女性は実在してるんだけど、あまりリアルじゃない。初対面からバリーに好意的でとにかく優しい。会話下手でリード下手のバリーを導き恋愛のステージを進めてバリーの心を充足させていく。
いい感じで恋愛を楽しんでた時に、自分を揺するテレフォン・セックス一味とのトラブルに彼女を巻き込み負傷を負わせてしまう。
怒ったバリーは一味に勇敢に立ち向かいブチのめし、ボスを一喝して縮み上がらせる。それまでは物を破壊することしかできない気弱な男だったのに。
そして、彼女に不安でプリン買い漁りテレフォン・セックスして詐欺に遭った情けない経緯を打ち明け、それを彼女が受け入れハッピーエンドに。

ラブコメって言うより、現代社会のアイロニーだったシニカルな視線を感じる。ブラックユーモアのある寓話的なコメディーにように思えた。P.T.Aは近年の大作、テーマ突き詰め路線じゃなくて、こういう軽めで良質な映画をたくさん撮って欲しいな。
正直、最近のはノレないよ。上映時間も長いし笑
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